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2026年11月8日(日) 更新

組織・人材

Google はなぜ Gemini より TPU 販売を優先するのか — GCP 加速が変えるクラウド選定の基準

DeepMind指導部の総退場と競合企業への計算リソース供給が示すのは、Googleの経営戦略が「AI開発競争」から「インフラプラットフォーム」へ傾いたとSemiAnalysisが見ている点だ。同社はTPU販売により、GCPの2027年の成長率が100%台半ばに加速すると推計している。

元記事 SemiAnalysis ─ 2026-08-07

原題

“Gemini is Cooked but GCP is Cooking” (Geminiは失速し、GCPは加速する)

原文からの引用

“More than 20% of total TPU shipments from 3Q26 to 4Q27 are being sold directly to Anthropic. This is excluding the hundreds of thousands of TPUs GCP already rents to Anthropic today, and the many hundreds of thousands more they've committed to rent to Anthropic and Meta over the next 6 quarters.”

日本語訳 3Q26から4Q27にかけて、TPU総出荷量の20%以上がAnthropicへ直接販売される。この数字には、GCPが現時点でAnthropicに貸し出している数十万台のTPUも、今後6四半期でAnthropicとMetaに貸し出すと確約済みのさらに数十万台も含まれていない。

要点

  1. DeepMindの人材流出: Jeff Deanら一流エンジニア4名がGoogleを離職し独立系AIラボ「Discovery Loop」を設立。Demis Hassabisは日常業務から外れ、Koray KavukcuogluがDeepMindのリーダーとなる。SemiAnalysisはこれを「Gemini 4 Proに期待する人たちの行動ではない」と評し、Gemini 4が凋落を覆すとは見ていない
  2. Geminiの技術的衰退: 2025年末のGemini 3 Proが頂点。以降はGemini 3.5 Flashが大不振で、3.5 Proは業界の噂でOpus 4.5並み(Fable 5・GPT 5.6には遠く及ばない)とされたのち、Googleが静かに中止したという。つなぎのGemini 3.6 FlashもMuse Spark 1.2・Grok 4.5・中国系の上位オープンソースモデルに劣り、数え方次第でGeminiは現在8〜9位
  3. トークン成長の鈍化: Gemini自社API(1P)のトークン処理量は1Q26で60%成長(10B→16B tokens/分)だったが、2Q26は38%成長(22B)に鈍化し、1P API収益の成長率も下がっている
  4. GCPの加速: GCP はTPUシステムの外部販売が新たな収益源になった。SemiAnalysisは、2027年末までにGCPのサードパーティAI向けARRが730億ドル超、TPU販売が別に1200億ドルに達し、2027年のGCP成長率は100%台半ば(セルサイド予想は64%)に入ると推計する
  5. 経営戦略の転換: Google CloudのCEOトーマス・クリアンが計算リソース配分をめぐる社内の政治的な争いに勝った公算が大きい、とSemiAnalysisは見る。GoogleはAnthropic・MetaなどGeminiの競合に大量のTPUを長期契約で供給しており、DeepMindに戻す見込みはないとする

編集部の考察

「GCP=インフラ調達先」「Anthropic・OpenAI等=モデル調達先」を別レイヤーとして扱い、「同じGoogleだから」という理由でモデル選定がGeminiに引っ張られないようにすべき局面に来ている。3Q26から4Q27にかけてTPU出荷の20%以上がAnthropicへ直接販売され、それとは別にAnthropic・Metaへの数十万台規模の長期レンタル契約も進行中だという事実は、GCPが自社Geminiよりも競合ラボへの計算資源供給を優先する経営判断を下したことを意味する。同時にGeminiのAPIトークン成長率は1Q26の60%から2Q26は38%へ鈍化し(要点3)、モデル順位も8-9位に低迷したままだ。GCPをインフラ基盤として使いながらGeminiもモデルの選択肢に入れている企業ほど、この構図を前提に調達戦略を切り分け直す必要がある。GCPのTPU販売攻勢は裏を返せば「自社モデルでは最先端を取れない」という経営判断を外部化した結果であり、今後はAmazonやMicrosoftのクラウド事業でも自社モデル開発とインフラ提供の間でリソース配分をめぐる同様の綱引きが表面化し、クラウド事業者を選ぶ基準そのものが「モデル性能」から「インフラ供給力」へ移行していく可能性がある。

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本記事は海外記事の独自キュレーション・考察であり、原文の翻訳ではありません。引用部分の著作権は原著者に帰属します。

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