AIエージェント
オープンソース LLM はクローズドモデルにいつ追いつくのか ― 追従期間が世代ごとに半減する SemiAnalysis の時代区分
GLM や Kimi などのオープンモデルがフロンティアモデルに追いつくまでの期間は、世代ごとに半分になっている(第2時代は8.5ヶ月、第3時代は4.8〜6ヶ月)。モデル選定そのものより運用層への投資が競争優位を左右する理由を、SemiAnalysis の分析から読む。
原題
“Are Open Models Catching Up?” (オープンモデルの追従スピード加速論)
原文からの引用
“with each generation, open-source models take half as long to catch up to the first closed-source model of the era." "Kimi K2.6 surpassed Opus 4.5 with a score of 56.3 in 4.8 months, and GLM-5.2 cleared GPT-5.2 with a score of 72.4 in 6 months.”
日本語訳 世代を追うごとに、オープンソースモデルがその時代最初のクローズドソースモデルに追いつくまでの期間は半分になっている。 Kimi K2.6 は 4.8 ヶ月でスコア 56.3 を記録して Opus 4.5 を上回り、GLM-5.2 は 6 ヶ月でスコア 72.4 を出して GPT-5.2 を超えた。
要点
- GLM 5.3やKimi K3といったオープンソースモデルが、Anthropic の ARR を押し上げたコーディング・エージェント系タスクの多くをこなせる水準に到達。Fireworksは日次40Tトークン処理(3月時点のOpenAI API比で2倍)
- SemiAnalysisの分析によれば、LLM史には3つの時代(早期スケーリング→推論→エージェント)があり、各時代の開始時にクローズドソースのラボが一歩先に進む。しかしオープンモデルが追いつく時間は毎世代で半減している
- Era 1(2022-2024):Llama-2-70B は GPT-3.5 Turbo に大きく後れ(複合スコア 39.9 対 75.7)、2024年7月の Llama-3.1-405B で追いついた。Era 2(2024-2025):o1 との差は DeepSeek R1 で 12.1 ポイントまで縮まり、R1-0528 が2025年5月に差を埋めるまで 8.5ヶ月。Era 3(2025-今):Kimi K2.6/GLM-5.2がOpus 4.5/GPT-5.2に追いつくまで4.8-6ヶ月
- SemiAnalysisは、支配的なベンチマーク指標は時代ごとに入れ替わるため、モデルの進歩を単一の連続トレンドで測定することは誤りだと指摘する
- 実際の使用体験では、ベンチマークスコア最高のモデルが最良の選択肢とは限らない。Anthropicは推論時代にリーダーボード争いへ加わらず、Claude Code のようなモデル+ハーネスの製品化を磨き、Claude Code 一般公開(2025年5月)以降で ARR を $65B 超積み増した
編集部の考察
問うべきは「どのモデル API を使うか」ではなく、「モデルを乗り換えても損なわれない資産を自分の組織の運用層にどれだけ積んでいるか」である。そう言い切れる根拠が、SemiAnalysis自身が「Kimi K3は我々の複合スコアでFable 5より高いかもしれないが、日常業務ではFableを使うほうを好む」と述べている一点だ。理由はモデル単体の賢さではなく、Claude CodeやClaude Tagといったハーネス(モデル+運用環境)の完成度にある(要点5)。加えてFireworksが日次40Tトークン(3月時点のOpenAI API比2倍)を処理し、オープンモデルの追従期間は世代ごとに半減(第2時代8.5ヶ月→第3時代4.8〜6ヶ月)という事実は、モデル単体の性能差が数ヶ月で埋まる時代に入ったことを示す。
これを自分の組織に置き換えると、プロンプト設計・評価基盤・エージェントのワークフロー統合をベンダー固有のAPIに密結合させたまま構築していないか、契約更改や予算配分の前に棚卸しする必要がある。モデルのコモディティ化が進むほど、競争優位の源泉は調達判断そのものではなく、モデルを差し替え可能な形で活用し続けられる社内ハーネスへの投資に移る。
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